猫の慢性腎不全が進行し食が細くなった猫に、強制給餌をしていました。猫を亡くして10年経った今も、強制給餌は猫にとって良い選択だったのか考えます。慢性腎不全の猫に強制給餌をすべきか悩むあなたに、今私が思うことや大変だったことを贈ります。
腎不全が進行していくと、なんとなく食が細くなっていき、欲しがるのに食べられない状態になり、次第に欲しがりもしなくなります。
治療のためには体力が必要だし、体力をつけるためには栄養が不可欠。
私は愛猫に1日でも長生きしてほしくて、高栄養食をシリンジで与える強制給餌をしていました。
でも、猫が亡くなって10年経った今でも、それが本当に猫にとって良い事だったのか自問自答しています。
この記事では、強制給餌を経験して感じたことをまとめます。
猫の強制給餌をしていた時の状況
強制給餌にいたるまでに、先代猫は「ごはんをねだるのに食欲がない」という段階があり、その頃はリーナルケアを自分から割と喜んで飲んでいました。
リーナルケアを割と喜んで飲んでいたので、強制給餌も割と簡単に行けるかなぁと楽観していたんですが、とんでもない!
ものすごく拒否されてしまったのです。
おとなしく受けてくれる皮下輸液と違い…
強制給餌を考える頃、多くの腎不全猫ちゃんは皮下輸液をしていると思います。
皮下輸液は(猫ちゃんによりますが)、猫ちゃん自身、脱水が解消されて元気になったり、一時的に食欲も増えたり、そもそも痛みがない皮下への処置という事もあってか、暴れたりすることなく受け入れてくれる猫ちゃんも多いのではと思います。
我が家の猫も、初めて皮下輸液をする時はそれなりに暴れましたが、数回で「なんか体調良くなる」と学んでくれたのか暴れずに輸液を受けてくれるようになりました。
でも強制給餌は違います。
猫自身が体感できるような違いもないし、本人が食べたくないのを食べさせるのだから、拒否します。激しく。
上手な方法や失敗しない方法など、今は様々なハックがググれば出てきますけども、当時はググっても答えが見つかる時代ではなかったし、私自身のやり方も下手だったのかも知れません。
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押さえつけ、叱って、強制給餌をしました
嚥下してくれず、猫の口周りは餌で汚れ、私は怖い顔で猫の顔を押さえつけて「飲んで!」と言葉を強めてしまう事もありました。
はっきり言って、猫の腎不全介護の中で強制給餌が一番大変でした。
今、私は子どもがいるわけですが、子育てをしていると、「心を鬼に」しなくてはならない事ってやっぱりあって、子どもが歯磨きを嫌がっても心を鬼にして押さえつけてまで磨くし、チャイルドシートに乗せると泣いていた頃も、やっぱり心を鬼にしてムリにでも乗せました。
それらには後悔がありません。
でも、腎不全の猫に強制給餌をした事は、猫を看取って10年以上経った今でも、「本当に良かったのだろうか」という気持ちが拭えません。
それはなぜかというと…
先代猫は、人間で言うと、もう80代という年齢だったからです。
猫の強制給餌を、自分に置き換えて考えると…
当時の私は猫と自分だけの生活だったので、猫は我が子も同然で、1日でも長く生きてほしいと思っていたんですね。
だからできる限りの事をしたいと思って強制給餌をしました。
でも、当時先代猫は17歳、人間で言うと80代です。
もしも自分が80代になって、自分から食べられなくなったとして、苦しいのに強制的に栄養を送られる立場になったとしたら?
「もうそんな事しないで、静かに眠らせて欲しい」という気持ちになるんじゃないかなと思うんです。
これが若いうちだったら別なんですよ。
多少苦しくても、本来続くはずの命を繋ぐのはむしろ当然のことだと思うんです。
私は既に父を看取っていて、更には60代の叔父や叔母を亡くしています。
だから80代で亡くなるという事が、いかに幸せなことなのかが今はわかります。
なのに17歳、人間で言うと80代の愛猫に、私は強制給餌をしたんですよね。
苦しいのに、押さえつけて、叱ってしまった。
穏やかな時間をもっと多くあげればよかったなって思います。
この事は今でも私の中でささくれとして残っています。唯一、心残りと言うか後悔というか、そうですね、ささくれとして残ってます。
猫の強制給餌は一般的な正解も不正解もなく、飼い主であるあなたの選択が正しい
今私が言える事は、腎不全末期の強制給餌に関しては、一般的に正解も不正解もないということです。
そして、もう1つ、「飼い主であるあなたの選択が正しい」ということ。
私は自分自身の選択を今でも自問自答しているけれど、一方で、その時猫の事を思い最善を尽くしたのならそれが正解だとも思うんです。
それにきっと、どの選択をしても、それで正しかったのか自問自答するのだと思います。
でも私は自分が経験をしたからこそ、ここをお読みの方に声を大にして伝えたいです。
飼い主であるあなたの選択を猫はわかっているし、それが正解だと言う事を。
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